誰も答えを持っていない問いに、AIでどう迫るか
セッション発言録 第5回・「導入・テーマ」の節「人が答えを持っていない問い、そしてAIと対話したって一発では良い回答が出ない世界に対して、いかにAIを繰り返すか、人間とAIで対話しながらより深い答えにたどり着けるのか。一番我々が知りたいけれど、誰も答えを持っていないAI時代の世界はどう変わっていくのか、企業の意思決定としてどう進むべきなのかを今日は扱います。」
セッション発言録 第5回・「導入・テーマ」の節「人が答えを持っていない問い、そしてAIと対話したって一発では良い回答が出ない世界に対して、いかにAIを繰り返すか、人間とAIで対話しながらより深い答えにたどり着けるのか。一番我々が知りたいけれど、誰も答えを持っていないAI時代の世界はどう変わっていくのか、企業の意思決定としてどう進むべきなのかを今日は扱います。」
セッション発言録 第5回・「導入・テーマ」の節「5回分作ってきた反省点として、面白いんだけど持って帰れないなというコンテンツも何回かあったと思うので、参加して面白かったに加えて、明日から何かしら使えそうだというものも持って帰っていただきたい。今日扱うものを使うと、数十ページの資料が自動的に出来上がります。」
セッション発言録 第5回・「全体の地図」の節「今、選択肢がありますよと。選択肢を取ったとして、いろんな外的要因もあってどうかわからないけれど、今取った選択肢によって未来は変わってくる。ただこれはあまりにも複雑なので、今日は世界がどう変わるかという話と、変わっていく世界の中で自社としてどんな選択肢を選ぶかという話に、前半と後半で分けて進めます。」
セッション発言録 第5回・「深度指標」の節「D0 生産性:業務がAI化されるが、商品・顧客・事業モデルは変わらない。D1 接点:対話AIが顧客接点・営業・支援に入り、提供価値の一部が変わる。D2 代理人:顧客側のAIが選び・比べ・交渉し・発注する、『選ばれる条件』が変わる。D3 仕組み:需要が先に決まり、供給の組み方と事業モデルが組み変わる。D4 構造:プレイヤーが入れ替わり、既存の資産・業歴の優位が崩れ、他産業から参入される。」
セッション発言録 第5回・「深度指標」の節「かつて本屋はアメリカならバーンズ&ノーブル、日本なら紀伊國屋さんあたりが強かったわけですが、今や最大手はAmazonですね。テレビも、かつては地上波のテレビ局が一番大手だったところ、今はネットやディズニープラス、YouTubeがある種の最後のテレビ局になっている。プレイヤーが入れ替わり、ビジネスの仕組み自体が変わるという深さです。」
セッション発言録 第5回・「深度指標」の節「概ねD0をやっているけれど、D2ぐらいまでは視野に入っているよね、というご意見が多そうですね。業界によりますよね。自動車系はすり合わせが進みやすい、製造業はAI前提にすると構造が変わることが多い、旅行業は影響が大きそう、という具合に。」
セッション発言録 第5回・「ストーリー」の節「4社に共通しているのは、足元のAI活用は進んでいるが、戦略検討は『今の事業をもっと上手に回す』(D0〜D1)で止まっていること。世界にはD2〜D4の未来を既に考え、動いている人たちがいる。経営陣もコンサルもその未来をぼんやりとは見えていて号令はかけているが、現場が納得し動ける解像度になっていない。主人公は、号令と現場の間に立つ事業部門の役員です。」
セッション発言録 第5回・「ストーリー」の節「それぞれ過去の成功体験もあるけれど、むしろだからこそAI時代に変化できずにいる、という話にしてあります。金融業は規制の問題、製造業は物売りをしてきたけれど変えなくてはいけない、IT業は人月商売から抜け切れるかどうか ― それぞれの課題を抱えています。」
セッション発言録 第5回・「自社ケース作成」の節「業界と対象企業と気にしていることを書き換えて実行すると、架空の会社と主人公、社風と空気、現在地、止まる理由、社長の号令、社内に流れている未来像、という簡単なケースが出来上がります。経営学を学んでいる人にとっては、自分の会社の文脈のケースが簡単に作れるんだ、ということ自体が面白いかもしれません。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン①手元のAI」の節「読んでみると、そんなに深くはないよねという感想になると思います。自分の業界に近ければ近いほど、せいぜいD0かD1ぐらいのシナリオが出てきがちです。結局のところ、自分自身が持っているそのビジネス分野を知っているがゆえの戦略的インサイトを与えるか与えないかで、サクッと聞くだけでは深いものはなかなか出てこない。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン①手元のAI」の節「どこの会社でも経営企画や経営を考えるためにAIを対話で使っていると思いますが、結局、深いことを考えられている人と考えられていない人の違いって、この話だけでも見えてくるんじゃないかなと。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン①手元のAI」の節「D0からD4の深度指標を与えたうえで、普通は0から1の深さにとどまりがちだけれど、4まであるということを想定して、もう一回もっと深くシナリオを考えてと指示します。結局こういう指示をしているかどうかで、シナリオの深さって変わってくるのかもしれない、と見て取れるんじゃないかなと。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン②世界編」の節「32回繰り返して、たくさんのシナリオをAIに書かせます。設定を変えれば100個でも200個でも作れるわけですが、たった20秒ほどで32本作れてしまう。手元でなんとなくやるのとは違うスケールで使っていけるということがイメージ湧くんじゃないかなと。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン②世界編」の節「変化の深さD0からD4のうち、各社が公表しているのはだいたいD0からD1ぐらいの深さのアイデアしか出していない。けれど今回32個出させたものには、もっと深く考えようということでD2・D3・D4案がたくさん出てきた。2034年頃にはD4ぐらいまでの案がたくさん出てきているという分布になります。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン②世界編」の節「AIを使うと必ずなるんですが、大量に考えさせているだけなのでかぶったり矛盾が起きたりいくらでもする。それをもう少し束ねていく作業が必要です。たくさん出したシナリオの中で、これとこれは同じだよね、これは延長線上に乗る束にした方がいいよね、ということをAIがやってくれます。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン②世界編」の節「昔だったらこれそのものを作るだけで、BCGみたいなコンサル会社に5,000万円ぐらいで頼んで一か月二か月待つみたいな世界観だったと思うわけですけど、これが今一回70円でできてしまう。1回で70円ぐらい、うちテキスト部分は数円で、画像を作るところが60円ぐらいです。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン②世界編」の節「これは僕が事前に設計しておいて、うまく設計するかどうかに関わってはいるわけですけど、皆さんだって同じものを作れるわけですよね。なので、ここまで作ることのコストが激減して、逆にこれをちゃんと解釈して実行に移すかという側に勝負が移っているんだという変化です。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン③判断編」の節「3回、決断に直面するという形で作ってあります。2027年の判断、2030年、2033年と、保守的なものから挑戦的なものまでの選択肢を出すようにしています。選ぶと、顧客に選ばれる力が上がったか、収益が良くなったか、需要基盤が強くなったかという評価をAIがシミュレーションして考えます。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン③判断編」の節「この太線がさっき選んだ道で、点線はそれ以外を選んだらこうなっていたよ、とAIが考えてくれるようになっています。未来が全然分からなかったAI時代の未来を、少し具体性を持って語れる。社内でお互いに見せ合ったり、判断を変えてみたりすれば、確かにこのシナリオは避けたよね、という話ができる。こんな未来を具体性を持って語るなんて、AIが登場する前には想像もできなかった。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン④ペルソナ」の節「今のシナリオを社内に共有したらどんな反応が返ってくるかのシミュレーションができる文章を用意してあります。役員A、部長B、課長C、若手D、経営企画Eの人となりが書いてあって、この人たちがこのシナリオを見たらどんな反応を返すかをAIにシミュレーションさせます。ここを実際に顔を思い浮かべる社内の役員や部長に書き換えてみると、めちゃくちゃ面白いと思います。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン④ペルソナ」の節「技術者のプライドが許せないみたいな気持ちも含めて測ってくれます。戦略ではなく些末なところに議論が行きがちだよね、という話に結局なりがちだというのがこのシミュレーションで出てくる。それぞれの人が守りたいものがあって、未来のシナリオがあってもなかなか踏み込めないという話です。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「作る時に試行錯誤して、最初は全部悲観的なシナリオばかりになったので、これじゃ面白くないと直させた。そうしたら今度は全部楽観的なシナリオになってしまって、もう一回書き換えさせた。結局これは生成で作るだけなので、正しい未来を当てているというよりは、そのトーンも自分で調整できてしまう。だからこれを信じて従おうという話ではないわけです。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「何にもない未来に進むのに比べると、ある程度選択肢があって、写真までついていて可視化されていて、なんとなくイメージが湧いてくる。確かにお客さんはこんな顔をしそうだな、このオペレーションになりそうだなというところまで見えてくる。AIは全然万能ではなく、お任せで完璧なものができる時代には程遠いけれど、AIができることによって今までとは全然違う感覚で経営もできるんだ、と。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「単純にAIと対話しているだけだと想像できないものが、自分の業界インサイトなどを与えると一気に深くなる。やっぱりAIは対話相手であって、鏡なのかもしれないですね。」
セッション発言録 第5回・「舞台裏」の節「画像生成に使っているナノバナナ(Gemini 3.1 Flash Image)は1分間に500回使える枠のうち、今全員で一斉に使って1分間に55回がマックスだった。契約上の上限に達していなくても、サーバー側が混み合っていると429エラーが返ることがある。せっかく作っても挙動がうまくいくかがなかなか見えないというのは、生成AIの癖で難しいところです。有償でサービスを提供するとなると、100%うまくいくか分からない性質が残ってしまう。」
セッション発言録 第5回・「舞台裏・注意点」の節「Gemini APIは有料版で使うと学習に使われないという規約になっています。無料版のAPIの場合は学習に使う可能性があるとGoogleは言っているので、会社の機密情報を扱われるときはそこを踏まえてご利用ください。」
セッション発言録 第5回・「実践の補足」の節「先月まではChatGPTの無料版は全然ダメだよという話をしていて、コードを書いてねと頼んでもなぜか書きしぶられる変な挙動だったんですが、数週間前からGPT-5.6ベースに変わって、すごい勢いでとても質の良いコードを書いてくれるようになりました。無料版でも全然使えるものになると思います。」
セッション発言録 第5回・「次回案内」の節「次回は、答えのない問いに対してAIと対話していく。ルールを揃えるため同じ強さのAIを相手に、短文で小刻みにやり取りする型か、じっくり長文で考えて長文で返させる型か、まず叩き台を作らせてその中から選ぶ段階で人間が深みを与える型か ― 深い答えへのたどり着き方が人によって違うのかを見たい。折れ線グラフにするには対話の良し悪しを評価しなければならず、その時点でAIが入ってしまう。そこで今試しているのが、絶対評価ではなく、案Aと案Bのどちらが良いかを比べさせるペア評価です。答えのない深い問いでも、2つを比べるならAIにもある程度フェアに判断させられる。」
セッション発言録 第5回・「今後のテーマ構想」の節「AI駆動でシステムを作れること自体がやっぱり大きな激変なので、Claude CodeでもCodexでも、これをどう扱うか。得意な人と苦手な人が混ざったこのコミュニティで、全員が使えるようになったとき組織と会社がどう変わるのか、というメタな視点も含めて扱いたい。もう一つは僕の本来の専門のデータサイエンスで、顧客のクラスタリングや全国の工場拠点の地理的最適化のように、AIが出てくる前ならプロとして数千万円いただかないとできなかったものが、AIに頼めば30分で出来上がる。社員一人ひとりが高度なデータ分析を使える時代に何ができて、どこに人間が必要なのか。ほかに、戦略に踏み込めない会社の組織をどう動かすか、今日の全社シナリオの新規事業版、事業デザインの実用版も考えています。」
セッション発言録 第5回・「導入・テーマ」の節「ここにお集まりの皆さんは、AIでうちの会社はここへ行きそうだと、なんとなく分かっているつもりかもしれない。でも、うちの会社の人たちが疎すぎて、そんなところへ舵取りできそうにない、という悩みもとても深いと思うんです。どこの会社だろうと。単純に未来を正確に予測できればいいわけではなくて、いかにコミュニケーションするかという側のほうが、むしろ大きな問題ということもあるのかなと。」
セッション発言録 第5回・「導入・テーマ」の節「AIによって大きな変化が起きることぐらいは、もう異論はない。でもそこから先、どっちに行くのかに明確な答えを持っている人はなかなかいない。小売の業界でもエージェンティックコマースみたいな言葉はみんなの頭の中に飛び交っていて、いろんなところで聞きかじっている。でも、エージェンティックコマースで一体どうなって、その中で自分の会社がどうなっていくのかを描けている人は、役員クラスに聞いても明確な答えはなかなか持てていない。」
セッション発言録 第5回・「深度指標」の節「本当にプレイヤーが変わるかは、自分自身の業界だと想像しづらいかもしれない。でも案外、他人から言われると確かにそうなるよねというところはある。30年前、コンサル業界でアクセンチュアがあんなに大きくなるなんて、誰も想像していなかったでしょう。じゃあ次に何が入れ替わるのか。自力ではなかなか想像しにくいんです。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン①手元のAI」の節「世界中の会社の経営者たちも皆、対話型のAIを使えるはずで、ほぼ全員の手元に最新の高性能モデルもあるはず。それでも、会社や業界の未来を読めている人と読めていない人がいくらでもいる。こういった深みを自分で考え、自分で与え、出てきたものを自分で咀嚼できているかどうか ― その人間側のリテラシーで、一人ひとりの、一社一社の差が生まれる。IRを見ても皆AIについて書いているけれど、それが抽象論にとどまるのか、より具体的に深いものを語れるのか。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン②世界編」の節「有料版の一番賢いモデルで思考を最大にして問いを与えれば、1時間ぐらいで20〜30ページのものを作ってくる。ただ、それも最初に問いかけが必要で、社員にそれを使わせようとしても、その問いかける動きがなかなか出ない。今回のようにボタンを押すだけでできるなら、社員全員にやらせることがもはや可能になる。自由に対話で使う使い方と、仕組みを組んで使う使い方 ― 両方の価値を使い分けるんだろうなと。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン③判断編」の節「この分岐シナリオが5分10分でできる。AIがなかった時代に頼んでいたらいくらだったんだろうという気もしますし、逆に、今日集まっている皆さんの中にもコンサル業の方が何人かいらっしゃると思いますが、これはもうお客さんが自分でできることを前提に、我々ビジネスプロフェッショナルも仕事をしなければいけない、という逆側の危機感もありますね。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「一瞬でAIは作れるけれど、その後何十倍も時間をかけて人間が咀嚼して、人間が考えなきゃいけない。人間の側に、もはやボトルネックというか、時間上の律速が今やありますよね。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「自分のAIって割と自分におもねるというか、ユーザーに寄った回答をしちゃうので、無理やり見させる仕組みをたまに使うことには価値があるのかもしれない。人間のコンサルタントは、あなたの会社ぶっ壊れますみたいな極端なシナリオは遠慮して言えないところもある。自分にとって不都合なところも含めて出し切るのは、超賢い人間も遠慮してやらないことを、AIがある種やってくれる。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「今まで5,000万円、1億円かけたものが100円で済む。100円で済ませておしまいにするのではなくて、100円で済むということは100回でも1000回でも使えるということ。社員全員に自分の業務の激変シナリオを考えさせても一人100円で済む。そうすると、社員全員が自分の業務激変シナリオを念頭に置いて業務してくれる。30ページに1億円かかった時代にはできなかったことが、今やそっち側に変わるのかもしれない。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「大学院の授業で予習をどのくらいしてきたか聞くと、昔はみんな10時間ぐらいと答えていたのが、最近は平均6時間と答えるようになってきた。難しい問題を与えられたときに、無意識に考える時間を減らしてしまっている。サボっているという意識さえないわけですけど。とはいえ、AIを使わずに考えていたら絶対に勝てない。そこはとても悩ましいところです。」
セッション発言録 第5回・「振り返り」の節「皆さんが今たくさん書いてくださった観点は、僕がAIと対話していても出てこないものでした。AIとやっていると、どうしてもエコーチェンバー的に自分の考えの中に閉じこもっていく面がある。人間が集まったときの集合知の価値はやっぱりある。そして最終的に選択するのは人間なので、ある種とても強い国語力が求められる。AIは大量の言葉を吐いてくれるけれど、それを理解しなければならない。使いこなせる人とそうでない人で、個人の能力がAIによってどんどん増幅されてしまう時代かもしれない。」
セッション発言録 第5回・「ハンズオン④ペルソナ」の節「こういう赤裸々な発言ログは、案外社内でも出なかったりする。AIは無理やりにでも書いてくれるので、人間が心の中に不安を抱えているけれどうまく言語化できない部分を、言語化した姿で見せてくれる。それぞれの不安も、信じられないところも、抵抗したくなるところもある。美しい未来シナリオを作ることよりも、この人間模様を解決しながら会社という船を前に進めていくためにどうすればいいかを考えることのほうが、実は大事なのかもしれない。」